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みんなが「ととのった〜」って言ってるのに、自分だけよくわからない
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みんなが「ととのった〜」って言ってるのに、自分だけよくわからない

「ととのう」を追いかけて、逆に遠ざかっていませんか

2025/12/1616分で読める

周りが「ととのった〜!」って気持ちよさそうにしているのに、自分はいまいちピンとこない。サウナブームに乗り遅れた気分、焦り、ちょっとした疎外感——その気持ち、実は大事なサインかもしれません。

「ととのったー!」 サウナ好きの友人がこう叫ぶのを見て、自分も同じ体験をしたいと思ってサウナに行った。熱いサウナ室で汗をかいて、冷たい水風呂に入って、外気浴で椅子に座って……。 でも、なんか違う。 みんなが言うような「浮遊感」「多幸感」がよくわからない。「ととのった」のかどうかもわからない。 正直に言います。その気持ち、よくわかります。 そして、「ととのわなきゃ」と思っている時点で、実はあなたはちょっと遠回りをしているかもしれません。

「ととのわない」焦りの正体

サウナ室——みんなが何かを見つけているはずの場所
サウナ室——みんなが何かを見つけているはずの場所

「ととのう」がわからないと焦る人には、ある共通点があります。 **「正解」を探している** サウナ何分、水風呂何分、外気浴何分。ネットで調べて、その通りにやってみる。でも「ととのう」感覚がこない。やり方が間違ってるのかな、と不安になる。 でも考えてみてください。 あなたがサウナに求めているのは、本当に「ととのう」という名前のついた体験ですか?

「ととのう」は追いかけるものではなく、追いかけるのをやめた時に訪れるものかもしれない。

友人が「ととのった〜!」と叫んでいるのを見て、自分も同じ感覚を味わいたい。その気持ちはわかります。でも、「ととのう」という言葉に縛られすぎると、本来サウナで得られるはずのリラックスが遠ざかってしまうんです。 「気持ちよかった」「すっきりした」「なんかぼーっとできた」 それで十分じゃないですか? それが、あなたなりの「ととのい」かもしれません。

なぜ私たちは「ととのう」を求めるのか

現代社会——常にオンでいることを求められる日々
現代社会——常にオンでいることを求められる日々

ここで少し、別の角度から考えてみましょう。 なぜ「ととのう」がこれほどブームになったのか。なぜ私たちは「ととのい」を求めるのか。

現代社会は、常に「オン」でいることを求めてきます。 スマホからは絶え間なく通知が届く。仕事では常に判断を求められる。プライベートでもSNSで誰かとつながっている。脳が休まる時間がない。 そんな中で、サウナは「強制的にオフにさせてくれる」数少ない場所なんです。 サウナ室にスマホは持ち込めない。暑すぎて仕事のことなんか考えられない。水風呂は冷たすぎて余計なことを考える余裕がない。 **何も考えられない状態に、強制的に追い込まれる** これが、私たちがサウナに惹かれる本当の理由かもしれません。

「ととのう」を求めているのではない。「何も考えなくていい時間」を求めているのかもしれない。

そう考えると、「ととのわなきゃ」と思っている時点で、また何かを「考えて」しまっている。 皮肉なことに、「ととのう」を追いかけることが、「ととのい」を遠ざけているのかもしれません。

「ととのう」という言葉が生まれた理由

北海道——この言葉が生まれた地
北海道——この言葉が生まれた地

「ととのう」という言葉は、2009年頃、プロサウナーの「濡れ頭巾ちゃん」氏が生み出しました。 彼が抱えていた悩みは、あなたの悩みと少し似ています。 「サウナで得られるこの快感を、的確に表す言葉がない」 「気持ちいい」「すっきりした」では、サウナ特有の深い感覚を表現できない。そう感じていた彼は、仲間たちと北海道の「白銀荘」でサウナを楽しんだ後、この話題で議論になりました。 そこで生まれたのが「ととのった」という言葉。

興味深いのは、「整う」と「調う」、2つの漢字の意味を含むように、あえて**ひらがな**で表記したことです。 ・「整う」:バランスが取れている状態 ・「調う」:条件が揃っている状態 つまり「ととのう」とは、心と体のバランスが整い、リラックスと覚醒の条件が調う状態。一つの漢字では表現できない、多層的な感覚なんです。 この言葉はその後、マンガ家・タナカカツキ氏の『サ道』で広まり、2019年のドラマ化を経て、2021年には新語・流行語大賞にノミネートされました。

でも覚えておいてください。 **「ととのう」という言葉が生まれたのは、その感覚がすでにあったから**です。 言葉が先にあったわけじゃない。感覚があって、それを表す言葉が後から生まれた。 だから、言葉を追いかける必要はないんです。

体の中で何が起きているのか

一応、科学的な話もしておきます。「ととのう」がよくわからない人にとって、体の中で何が起きているかを知ることは、少し安心材料になるかもしれないので。

自律神経の「バグ」

サウナ室(80〜100℃)に入ると、体は「これはヤバい」と認識し、交感神経(興奮モード)が活性化します。心拍数が上がり、アドレナリンが分泌される。 水風呂(15〜20℃)に入ると、さらに交感神経が活発になる。冷たさから身を守ろうと、体は全力で反応します。 そして外気浴。 サウナと水風呂という「危機」から解放されると、体は一気に副交感神経(リラックスモード)に切り替わります。 ここで面白いことが起きます。

自律神経の切り替えは一瞬で起きますが、血中に残っているアドレナリン(興奮物質)は、代謝されるまでに約2分かかるんです。 つまり、**外気浴を始めてからの2分間**は、こんな「矛盾した状態」が生まれます。 ・体はリラックスモード(副交感神経優位) ・でも血中にはまだ興奮物質が残っている 日本サウナ学会の加藤容崇医師は、これを「体がバグる」状態と表現しています。 **体は究極にリラックスしているのに、意識はすっきり覚醒している** これが「ととのう」の正体と言われています。

「ととのう」は特別なテクニックで得るものではなく、体が自然に起こしている反応。あなたの体は、ちゃんと「ととのう」準備ができているんです。

脳内で起きていること

ちなみに、「ととのう」状態では脳内でこんな物質が分泌されていると言われています。

  • β-エンドルフィン:いわゆる「脳内麻薬」。幸福感をもたらす。
  • オキシトシン:「幸せホルモン」。安らぎの感覚をもたらす。
  • セロトニン:精神を安定させ、気持ちを穏やかにする。

2023年の脳波研究では、サウナ後にリラックスを示すα波やθ波が増加することも確認されています。瞑想や深い集中状態と似た脳の動き。 科学的に見ても、「ととのう」は確かに存在する現象なんです。

めまいとの違い——これだけは知っておいて

水風呂——体が反応する瞬間
水風呂——体が反応する瞬間

ここで一つ、大事なことをお伝えします。 「ととのう」と「めまい」は全く違います。 両方とも「浮遊感」があるため混同しがちですが、めまいは危険なサインです。

ととのうめまい
気分気持ちいい、幸福感気持ち悪い、不快
視界安定しているぐるぐる回る、真っ白
意識クリアで冴えているもうろう、ぼんやり
体の感覚軽い、浮いている重い、だるい

**もし気持ち悪さを感じたら、それは「ととのい」ではありません**。すぐに休憩を取ってください。 めまいの主な原因は、脱水、急に立ち上がったこと、無理な我慢です。 ・水分はこまめに補給する ・水風呂から上がる時はゆっくり立ち上がる ・サウナ室で「きつい」と感じたら無理せず出る これだけ守れば、たいていは大丈夫です。

「ととのう」はゴールではない

外気浴——ただそこにいるだけでいい
外気浴——ただそこにいるだけでいい

最後に、お伝えしたいことがあります。 **「ととのう」はゴールではありません**。 「ととのわなきゃ」と思ってサウナに行くと、かえって緊張してしまう。リラックスしようとして、リラックスできなくなる。 サウナの本質は、「何も考えなくていい時間」にあります。 熱いサウナ室で汗をかいて、冷たい水風呂で「うわっ」となって、外気浴でぼーっとする。 それだけでいいんです。

「ととのうための努力や才能なんて必要ありません。サウナに行けば、誰でも自動的にととのいます」——加藤容崇医師

この言葉の意味は、「正しくやれば必ずととのう」ではありません。 **何も考えずに身を委ねれば、体が勝手にととのう**という意味です。 「ととのう」を追いかけるのをやめた時、気づいたらととのっていた——そんな体験をする人は多いです。 だから、焦らないでください。 「今日はなんか気持ちよかったな」 それで十分。それがあなたの「ととのい」です。

よくある質問(FAQ)

参考文献

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